String

String は文字列を表す型です。次のように、文字を表す型 Char のリストとして定義されています。

/-- 文字列 -/
structure String where
  /-- 文字列をほどいて `List Char` にする -/
  data : List Char

文字列結合

String.append を使って文字列を結合することができます。この関数は ++ という記号が割り当てられています。

#guard String.append "Hello, " "world!" = "Hello, world!"
#guard "Hello, " ++ "world!" = "Hello, world!"

文字列の長さ

文字列の長さは String.length 関数で取得することができます。

#guard "Hello".length = 5

#check List.length

String.length を素朴に実装すると、

  1. 文字列を List Char に変換する
  2. List.length を使って長さを求める

という手順になるかと思います。n 個の要素を持つ xs : List α に対して長さを求めようとすると、先頭から順に要素をたぐっていくので Ω(n) 時間がかかります。したがって String.length は長い文字列に対しては遅くなりそうなものですが、コンパイラによって実装がオーバーライドされているため実際には O(1) 時間で実行できます。

このあたりの背景はドキュメントコメントに書かれています。

open Lean Elab.Command

/-- ドキュメントコメントを取得して表示するコマンド -/
elab "#doc " x:ident : command => do
  let name ← liftCoreM do realizeGlobalConstNoOverload x
  if let some s ← findDocString? (← getEnv) name then
  logInfo m!"{s}"

/--
info: `String` is the type of (UTF-8 encoded) strings.

The compiler overrides the data representation of this type to a byte sequence,
and both `String.utf8ByteSize` and `String.length` are cached and O(1).
-/
#guard_msgs in #doc String

文字列補完

String 型の変数の「評価した後の値」を文字列に埋め込むことができます。これを文字列補完と呼びます。Lean では、これは s! という構文で行うことができます。

def greet := "Hello"

/-- info: "Hello, world!" -/
#guard_msgs in
  #eval s!"{greet}, world!"