プログラミング・証明・パフォーマンス

この章ではプログラミングについて述べます。プログラムは正しい結果を計算する必要がありますが、同時に効率的である必要もあります。効率的な関数型プログラムを書くためには、データ構造の適切な使い方と、プログラムを実行するために必要な時間と空間について考える方法の両方を知ることが重要です。

またこの章では証明についても述べます。Leanの効率的なプログラミングにおいて最も重要なデータ構造の1つは配列ですが、配列を安全に使用するには配列の添字が境界内にあることを証明する必要があります。さらに、配列に関する興味深いアルゴリズムのほとんどは構造的再帰のパターンに従いません、その代わりに配列上の繰り返しになります。これらのアルゴリズムは必ず終了しますが、Leanはこれを自動的にチェックできるとは限りません。プログラムが終了する理由を示すために証明を利用することができます。

高速化のためにプログラムを書き直すと理解しにくいコードになることが多いものです。証明はまた、2つのプログラムが異なるアルゴリズムや実装技術を使っていても常に同じ答えを計算することを示すことができます。このように、遅くて簡単なプログラムを、早くて複雑なバージョンの仕様書としての役割を果たすようにすることができます。

証明とプログラミングを組み合わせることで、プログラムを安全かつ効率的にすることができます。証明は実行時の境界チェックの省略を可能にし、多くのテストを不要にします。また、実行時のパフォーマンスのオーバーヘッドを発生させることなく、プログラムに対する極めて高い信頼性を提供してくれます。しかし、プログラムに関する定理の証明には時間とコストがかかるため、他のツールの方が経済的な場合が多いものです。

対話的な定理証明は奥の深いトピックです。この章ではLeanでプログラミングしているときに実際に出てくる証明を中心にしつつ、味見だけにとどまります。ほとんどの興味深い定理はプログラミングと密接な関係を持ちません。さらに学ぶための教材のリストについては「次のステップ」 を参照してください。しかし、プログラミングを学ぶ時と同じように、証明の書き方の学習にあたっては実体験に勝るものはありません!